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映像四郎の百人斬り

映像四郎の百人斬り

「JUNKY JUNKY」

「JUNKY JUNKY」



 「右翼バンドマン」と最初に、映像制作をしていたころ、

 撮影および編集費用として、SM倶楽部や、

 キャバクラ、クラブなどを奢ってもらっていた。

 というより、風俗に対しての、道連れがほしいだけで、

 基本的に、淋しがり屋な人だった。

 「右翼バンドマン」は、高級外人クラブが、大好きな男なのだ。

 日本よりも、海外を愛しているし、海外に滞在していることの方が、

 多いかもしれない。

 しかも、日本の外に出ると、必ず「女」を作り、

 現地に溶け込んでしまう。

 そんな彼にも、弱点がある。

 それは、「日本女」だ。

 打ち合わせと称しては、銀座の外人クラブに、呼び出され、

 ぽつぽつと、慣れない英語で、海外女性と、

 私も、コミュニケーションを、図るのだが、

 「右翼バンドマン」は、私以上に、

 込み入ったコミュニケーションを図っている。

 そんなときの彼は、子供のように、

 険の抜けた顔をしているのだった。

 そんな彼の「弱点」が、露呈したのは、

 私の地元地域でのドキュメントを撮影した日だった。

 タイトルは、「JUNKY JUNKY」。

 もちろん、あとづけだ。

 合法的に、「エフェドリン」「コデイン」を摂取するためには、

 薬局の「のど薬」を補給しなくてはいけないのだが、

 私の地元の町薬局で、彼は、お伊勢さんご用達、

 室町時代から続く名薬「百毒下し」に出会う。

 古来、「巡礼」には、「女遊び」も、含まれていたのだ。

 「女遊び」で「病気」をもらってしまった時の「毒消し」として、

 三重県の四日市で、480年つくられてきたそうだ。

 映像の中で、彼が、語っている。

 「神代の時代から、神社の発祥とともに、

  巫女っていうのは、売春婦だった。

  売春地帯だったんだ、古代から綿々と。

  やっぱり、あそこ(お伊勢さん)は、

  女神なんだ。

  女神が、あそこには、いると。

  女神が、売春婦。

  マルキド・サドのテーマ」

 この後、「右翼バンドマン」は、

 「百毒下し」を2本空け、

 ひなびた公園道に佇む、

 アジアな香りのする「お地蔵さん」に対して、

 「マルボロ」で、護摩を焚き、

 コカコーラを、茶碗に注ぎ、頭からかぶり、

 ロウソクに、火をつけては、

 折りたたみ式「ナイフ」で、ロウソクの首を斬り、

 首を斬っては、また火をつけ、

 「ナイフ」を、投げて、「エロ本」を痛めつけ、

 地面に叩きつけたことで、刃の欠けてしまった「ナイフ」を奉納し、

 「シャーマニズム・ギタリスト」としての「儀式」を行ってくれた。

 撮影終了後、「右翼バンドマン」が、

 「ねえ、ねえ、ぱっといこうよ。

  SM倶楽部いこうよ」

 と少年のような、あどけない無垢な目で、私を見つめている。

 どうやら、今回も、制作費代わりに、奢ってくれるそうだ。

 「右翼バンドマン」は、Mで、

 女王から、殴られる「キャット・ファイト」コースを、選んだのだが、

 私は、Sの「アナル・セックス」コースを選んだ。

 本当は、Mなのだが、その当時、惹かれたのが、そのコースだったのだ。

 その後、私は、「アナル・セックス」好きな彼女に出会い、

 今では、あまり、興味がない。

 普通が、一番だ。

 しかし、「遊び」は、そこで、終わらなかった。

 海外在住が長く、海外好きな「右翼バンドマン」は、

 「日本人」のいる「キャバクラ」に行ったことがなかったのだ。

 そこで、どこでもいいから、案内してくれといわれ、

 客引きに、勧められた店に入った。

 大衆用のキャバクラは、騒がしい。

 銀座の高級外人クラブの穏やかな空気とは、確実に違う。

 どこか、電化製品の量販店の慌しさがある。

 私には、当たり前でも、

 「右翼バンドマン」にとっては、

 当たり前ではなかったようだ。

 「女の子」が付き、酒が進むとともに、

 いや、彼は、合法ドラッカーだから、

 酒席では、コカ・コーラなのだが、

 「右翼バンドマン」の様子が、変わり始めた。

 日本語が、通じるためか、

 「女の子」への説教が、始まったのだ。

 「英語」を使っているときは、ジェントルな彼も、

 「日本語」を使って、騒がしい場所にいると、

 「若い子」に説教したくなってしまう、

 一介の「日本オヤジ」と化してしまうのだった。

 普段は、温厚な彼なのだが、

 ガチャガチャした場所では、

 多少、ギザギザしてしまうようだ。

 ここで、私は、彼の「弱点」が、

 「日本語」を話す「日本女」であることに気づかされた。

 どう考えても、一日で、

 10万円以上の「遊行費」を使わせてしまうので、

 「そろそろ、帰りましょう」と

 「右翼バンドマン」に言うのだが、

 「日本男児が、途中で、引き下がれるか」と返され、

 「右翼NIGHT」は、更けていくのだった。



 現在、彼は、またもや、南米へ飛ぶため、

 音源つくりに、精を出しているらしい。




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